Unityで2Dドット絵ゲームを制作するなら、画像のインポート設定と『Pixel Perfect Camera』の活用が成功の鍵です。
本記事では、ドット絵がぼやけるのを防ぎ、シャープな見た目を保つための最適なインポート設定と、画面サイズに依存しない完璧な表示を実現するカメラ設定を、Unity 6の環境で分かりやすく解説します。
ステップ1:ドット絵画像のインポートと設定
まずは、ドット絵の元となる画像ファイルをUnityに取り込み、正しく表示されるように設定します。
この設定を怠ると、せっかくのドット絵がぼやけてしまう原因になります。
1.画像をUnityプロジェクトに追加する
最初に、用意したドット絵の画像(PNG)をUnityに取り込みます。今回使用する32×32ドットのプレイヤー画像です。(記事用に拡大表示しています)

この画像をUnityに取り込んでみます。
Projectウインドウに画像をドラッグアンドドロップするか、ウインドウ内で右クリックでコンテキストメニュー>Import New Asset….で追加します。

2.Inspectorで表示設定を調整する
次に、取り込んだ画像を選択し、Inspectorウィンドウで以下の5つの項目を設定します。

| Texture Type (テクスチャタイプ) | 2Dゲームのキャラクター、背景、アイテム、UIボタンなどはすべて”スプライト”として扱います。 Sprite(2D and UI)を選びます。 |
|---|---|
| Sprite Mode (スプライトモード) | 1枚の画像ファイルから、どのようにスプライトを切り出すかを設定します。 今回のように1つの画像に1つの絵だけが描かれている場合はSingleを選択します。 |
| Pixels Per Unit (単位ごとのピクセル数) | 2Dゲームのスケール(縮尺)を決める、非常に重要な設定です。 Unityのゲーム空間での1ユニット(Unity内の距離の単位)を、画像の何ピクセル分に相当させるかを定義します。 ゲーム内で使う画像は、たとえサイズが違っても(例:64×64の敵キャラ)、このPPUの値をすべて同じ数値(今回は32)に統一するのが基本です。 これにより、オブジェクト間のサイズの比率が保たれます。 |
| Filter Mode (フィルターモード) | 画像が拡大・縮小されたときに、見た目をどう調整するかを設定します。 ドット絵の見た目を維持するための必須設定です。 Point(no filter)を設定します。 画像を拡大したときに補間処理を行わず、ピクセルをそのまま四角く拡大します。 これにより、ドット絵特有のクッキリとした輪郭が保たれます。 |
| Compression (圧縮) | ゲームのファイルサイズを軽くするために、画像のデータ量を圧縮するかどうか、またその品質を設定します。 Noneは、圧縮を一切行わず、元画像の品質を完全に維持します。 |
| Apply (適用する) | これらの項目を設定したら、Appleyボタンで適用します。 ※Revert(元に戻す) |
Appleyボタンで適用後、Sceneビューにドラッグアンドドロップしてみます。

もし上記の設定をしないまま画像をシーンに配置すると、左の画像のように全体がぼやけてしまいます。正しく設定することで、右の画像のようにシャープな表示になります。

ステップ2:Pixel Perfect Cameraで表示を安定させる
次に、どんな画面サイズでもドット絵が崩れないように、カメラを設定します。
Pixel Perfect Cameraは、低解像度のドット絵を高解像度のスクリーンに表示した際の「見た目の崩れ」を防ぐためのコンポーネントです。
これを使うことで、キャラクターの動きで絵がガタついたり、ドットがぼやけたりするのを防ぎ、常に意図した通りのクッキリした表示を保ちます。
1.コンポーネントを追加する
シーンで使用しているカメラ(通常はMain Camera)を選択し、Inspectorウィンドウ下部のAdd ComponentからPixel Perfect Cameraを追加します。

Pixel Perfect Cameraコンポーネントをアタッチしたら、Inspectorの以下の項目を設定します。
2.パラメータを設定する

| Asset Pixels Per Uni | プロジェクト全体で基準としているPixels Per Unit(PPU)の値をカメラに教えます。 今回は32で統一しているので、32とします。 |
|---|---|
| Reference Resolution (基準解像度) | のゲームをデザインする上での「仮想的な画面サイズ」を定義します。 カメラは常にこの解像度を基準に表示を調整します。 今回はX:270, Y:480で設定。 ゲームの基本となる画面サイズになります。 この設定により、「ゲーム画面の縦には32ドットのキャラが15体(480 ÷ 32 = 15)入る」という、あなたが意図した通りの見た目が作られます。 |
| Crop Frame(フレームの切り抜き) | 基準解像度のアスペクト比(今回は9:16)と、実際のスマホ画面などのアスペクト比が違う場合に、表示をどう調整するかを決めます。 今回はNoneです。 (Pillarboxなどにすると、比率維持のために黒帯が表示されます) |
| Grid Snapping (グリッドへの吸着) | スプライトがピクセル単位でカクっと動くように、強制的に位置を調整します。 Pixel Snappingにより、すべてのオブジェクトを最も近いピクセルの整数座標(例: X=10 や X=11)に「パチッ」と吸着させます。 これにより、動いているキャラクターも常に輪郭がクッキリと保たれます。 |
以上の設定を行うことで、Unityでドット絵を意図した通りに美しく表示できます。重要なのは以下の2ステップです。
- 画像のインポート設定: Filter ModeをPointにして、PPUを統一する。
- Pixel Perfect Camera: 解像度やPPUを設定し、表示の崩れを防ぐ。
これらの基本を押さえて、あなたのドット絵ゲーム制作に役立ててください。

