いろいろと面白いんですよ、この映画。
映画『ときめきメモリアル』は、同名の恋愛シミュレーションゲームを原作にした青春映画だが、ゲームとの共通点は少なく、独自のストーリーが展開される。
メモラー※からすれば、「なんじゃそりゃ」と思うかもしれないが、じつはメモラーにこそ見てほしいという思いを込めて作られた作品だとわたしは思う。
お家にこもって恋愛ゲームをせっせとプレイしていたって、リアルな女性を理解できないし、本物の女性と付き合うなんて当たり前にできない…。
一見見落としがちなこの事実を、メモラーの逆鱗に触れないようにちょこちょこと原作ゲームの要素を挟み込みながら、この映画は”やんわり”と教えてくれているのだ。
「リアルな青春したけりゃ、ゲームなんてしてる場合じゃないぜ!」と。
また、映画『ときめきメモリアル』は、ちょっと内気でキモい男子高校生「鈴木明彦」がひと夏の経験で、ずるりと一皮むけて”キモいまま”いい男になるといった、ツッコミどころの多い青春映画でもある。
1997年の作品なので人の常識や価値観の違いに時代を感じるが、描かれた友情や恋愛の葛藤は、今見ても共感できる普遍的なテーマなので、メモラーはもちろん、そうでない方も十分楽しめるはずだ。
ぜひ一度見ていただきたい!
※メモラーとは、恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』(通称:ときメモ)のファンまたは極めた人のこと。
高校最後の夏休み、主人公の鈴木明彦は、学園の四大美少女と呼ばれる小麦、波絵、夏海、美潮と一緒に海の家でアルバイトをすることに。友情や恋愛感情が交錯し、夏の思い出を作り上げていく様子が描かれた青春映画。
1997年に、ビデオゲームを原作として公開されたこの映画は、東映とフジテレビジョン映画部の共同制作によるティーン・ヤング向けの『僕たちの映画シリーズ』の最後の作品として制作されました。
※ By Demons Be Driven 様のYouTubeチャンネルより『【1997年CM】 映画 ときめきメモリアル』を引用。
映画『ときめきメモリアル』オススメ配信サービス!
残念ながら、動画は配信されていないようです。(2024/12/12時点)
どうしても視聴したければ、2001年発売の『ときめきメモリアル [DVD]』または『僕たちの映画シリーズスペシャルボックス[DVD]』の中に収録されていますので、ぜひチェックしてみてください。
1時間31分。
映画『ときめきメモリアル』をオススメしたい人!
| ノスタルジーな青春映画が見たい人! | |
|---|---|
| ゲーム『ときめきメモリアル』が好きな人! |
榎本加奈子、中山エミリ、矢田亜希子、山口紗弥加といった1997年当時の人気アイドルを起用し、本作がメジャーデビューとなった吹石一恵さんも出演しているので、この時代に青春を過ごした人たちは、懐かしさとともに鑑賞できるのではないでしょうか。
また、ロケ地の山口県柳井市の昭和レトロな白壁の街並みや、周防大島町の片添ケ浜海浜公園の海と空の美しさが素晴らしい。こんな素敵なところがあるんだな~って思いました。行ってみたいです。
映画『ときめきメモリアル』と一緒に見たい作品は!?
| 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? | 「花火は横から見ると丸いのか、平べったいのか」 夏休みのある日、主人公の中学生・典道と友人たちが議論をするところから始まります。その後、典道はクラスメイトのなずなと一緒に花火大会に行くことになりますが、そこで不思議な出来事が起こり、時間が巻き戻るというファンタジックな展開が繰り広げられます。 |
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原作は1993年に放送した実写のテレビドラマです。2017年にアニメ映画になりました。青春の切なさや初恋の甘酸っぱさを描いた作品です。
過去や未来を改変するよくあるタイムリープものと思って鑑賞すると、ストーリーを見失ってしまうので、注意が必要です。
『ときめきメモリアル』ってどんなゲーム?
『ときめきメモリアル』は、1994年にコナミから発売された恋愛シミュレーションゲームです。プレイヤーが高校生として3年間を過ごし、さまざまな女の子と交流しながら恋愛を成就させることを目指します。
ゲームの特徴として、キャラクターごとに異なるエンディングが用意されており、プレイヤーの選択や行動によってストーリーが変化します。
ゲームの舞台は架空の高校「きらめき高校」で、プレイヤーは勉強や部活動、アルバイトなどを通じてステータスを上げ、女の子たちとの関係を深めていきます。キャラクターの魅力やストーリーの多様性が評価され、シリーズ化されるほどの人気がありました。
『ときめきメモリアル』は、その後も多くの続編やスピンオフ作品が制作され、アニメや漫画などのメディアミックス展開も行われました。
また、2002年には、女性プレイヤー向けに女性主人公が男性キャラクターに恋愛する内容の『ときめきメモリアル Girl’s Side』が発売されています。
『ときめきメモリアル』シリーズは、恋愛シミュレーションゲームの先駆けとして、多くのファンに愛され続けています。
ビデオゲーム『ときめきメモリアル』の続編は?
男性向けの『ときめきメモリアル』は2009年のナンバー「4」を最後に制作されていません。新作の発表はうわさもなく、公式からの発表もありません。(2024/12/15時点)
しかし、2025年には、Nintendo Switch™で、第一作目のリマスター版『ときめきメモリアル forever with you エモーショナル』が発売されます。
リマスター版は、オリジナルのストーリーやキャラクターはそのままに、新しいグラフィックに切り替えて遊べたり、女の子たちがプレイヤーの名前を呼んでくれるシステムが追加されたりしました。

映画『ときめきメモリアル』の感想は…
注意!ネタバレを含みます。
この内容には、作品の重要な部分に関するネタバレが含まれています。まだ作品を見ていない方や、ストーリーの展開を知りたくない方は、開いて(タップして)読まないことをおすすめします。
主人公の鈴木明彦(キャスト:岡田義徳)は、勉強もスポーツもイマイチという冴えない男子高校生だ。そんな彼でも、女の子とイチャコラしたいという欲望だけは普通の男子と変わらない。
高校最後の夏休みを前に、明彦が恋をしたいと悶々としていると、友人から「思い出作ろうぜ」と言われ、いけない事と知りながらもその友人と誰もいない女子更衣室に忍び込む。
はじめはオドオドしていた明彦だったが、まるで無人の神殿のような静けさに包まれた女子更衣室の中心で、柔らかな陽光と甘い香りに包まれるうちに、神の祝福でも授かったかのように明彦の緊張は解け、次第に恍惚とした表情へと変わっていく。
その様子は、美しくも、なんとも言えない気持ち悪さとして画面いっぱいに広がっていく。
これは、明彦が充実した高校生活を満喫したかったのに、その想いだけで何も行動してこなかった自分を反省し、行動する自分へ脱皮したという、生まれ変わりのメタファーなのだろう。
女子更衣室で生まれ変わった明彦。
ここからの彼の行動力が素晴らしい。学園四大美女の個人情報を手に汗握る眼光鋭い攻防戦で掌握し、彼女たちと同じ海の家でアルバイトをすることに決め、見事に採用される。
はっきり言ってストーカーだ。
夏休みに入ってアルバイトが始まると、明彦は慣れないながらも自分に与えられた仕事をがむしゃらにこなしていく。
しかし、行動力を身につけても根っから冴えない明彦は、何をやらせても半人前でこき使われる毎日を過ごす。
それに、空気が読めず女性慣れしていないので、彼女たちが培った絆の間に土足でズカズカと入り込んでいって疎ましがられてしまう。
しかし、これまでの自分を変えようと行動し続ける彼の姿に、次第に彼女たちも心を開いていくのだった。
夏休みも終わりかけのある日、明彦が人手不足のためにほかの現場に向かっている間に台風が海の家を襲う。
強風の中、彼女たちは海の家が吹き飛ばないように懸命に支えて守ろうとするが、巨大な台風の前についに力尽きる。
そこに、明彦が海の家に引き返してきた。もう夏も終わるし今年が最後だから海の家は壊れてもいいとあきらめ、疲弊しきった彼女たちに向かって明彦はこう言う。
「俺は嫌だね!俺は嫌なんだよ、みんなは最後かもしんないけど、俺はまだ始まったばっかりなんだよ、壊されてたまるか、俺にはまだ足りないんだよ!」
冴えない明彦らしい、とことんカッコ悪いセリフだ。
でも、彼女たちは、慣れない仕事でも腐らず一生懸命働く明彦の姿を見ている。
女子更衣室をのぞいたことを正直に告白した明彦の真摯な姿勢を見ている。
水の中で暴れているようにしか見えなかった明彦が、だんだんとまっすぐ泳げるようになっていく姿を知っている。
彼女たちにとっていちばんカッコいいこととは、形だけの言葉や見た目ではなく、困難に立ち向かい、諦めずに努力し続ける姿勢なのだ。
明彦の言葉に彼女たちは立ち上がり、海の家を守ろうと再び奮闘する。それは、明彦と彼女たちが本当の仲間(対等)になった瞬間でもあった。
青春の夏は過ぎて別れの卒業式。明彦たちが高校を去る時が来た。
卒業式が終わり、明彦は校庭にある青々と茂った大きな樹の下に何者かに呼び出される。
その樹には、卒業式の日にその下で告白すると愛が永遠になるという伝説があった。高校三年間の思い出をかみしめながら、少し緊張した様子で明彦はその場所へ向かった。
しかし、女子更衣室をのぞきに行ったときのような挙動不審なオドオドとしたものではなく、これから起こる出来事に期待しての緊張感だった。
明彦は、海の家での経験を通して、女の子に近づきたかっただけの自分から、友情や仲間の大切さを学び、自分自身の可能性に気づいた。カッコいい男の子に成長したのだ。
明彦が伝説の樹の下で待っていると、海の家で一緒に夏を過ごした学園四大美女が待っていた。
「鈴木明彦君、わたしたち、君のこと好きだよ(笑顔)」
彼女たちの告白に明彦は、
「いやあ、困ったな、迷っちゃうな~(笑顔)」
と言いながら、彼女たち四人を一人一人選り好みするかのように見比べるのだった。
困惑しながらも楽しんでる明彦の様子に得体のしれない嫌悪感を覚えるほどであったが、キモいままであってもカッコいい男の子に成長し、自信を得た明彦にわたしは脱帽である。
わたしが明彦の立場だったら、わたしもこの返事で精いっぱいか、何も言えずに固まっていたことだろう。わたしよりカッコいい男になってしまったのかもしれない。
大団円のうちに物語は幕を閉じるが、彼、彼女たちの夏、そして、恋はまだ終わっていない。これから始まるのだ。
実に楽しめる作品でした。中身がないアイドル映画かと思ったら、青春時代の友情や葛藤、行動力の大切さ、自己研鑽などの色々な要素が絡み合い、意外にしっかりしているストーリーだった。
役者さんの演技も今思えば、若さを体現していてすごくいいと思った。
それに、夏の終わりに夜の海岸で、はしゃぐシーンは美しかった。
メモラー歴30年のわたしでも、原作ゲームにストーリーを寄せなくて良かったと思える良作でした。
P.S.海の家の物語なので、女性アイドルの水着姿とかあるのかなと思っていたら、もう一人の仲間、池内博之さん演じる佐川浩介の、面積の小さい海パンをはいたマッチョなライフセーバー姿が物語一番の肌の露出度でした。
ストーリーも役者さんの演技もいろいろと荒い作品ではありますが、みんなでワイワイとアレやコレやとツッコミながら鑑賞すれば、さらに楽しめるのではないでしょうか?
オススメです!
